『ひとの心なが、っていうか、あいつの心の中は、俺の想像(そうぞう)を遥かに越えて(こえて)ていた。』
彰:「あのさ、俺、プロデュースやめたいんだけど。」
修二:「そっか。え~何て?」
彰:「野ブタがみなんのものになるのが苦しい(くるしい)。ホントウ、誰かに見られるのも」
彰:「なんで、あいついんのよー。」
「あっちゃ、怒ってる(おこってる)。」
修二:「もう一度確認(かくにん)する。お前、本当に野ブタのプロデュース止めんだな?
彰:「だな。」
修二:「じゃあ、何?結局(けっきょく)、お前は野ブタをどうしたいの?」
彰:「どうって、ふふふふ」
修二:「じゃあ、何、なあ、動物園(どうぶつえん)でも一緒にデートいきたいって?なあ?」
彰:「まあ、それもしたいげと、でも、一番したいのは、言っちゃっていいのかな?結婚!恥(は)ずかしい~」
『やっばり、こいつはをれの想像を遥か(はるか)に越えていた。』
修二:「放送部?(ほうそうぶ)」
野ブタ:「蒼井(あおい)さんが入らないかって。」
修二:「ああ、クラブ活動(かつどう)ね。うん、その手があったか。いいじゃん。なんか、人間(にんげん)関係(かんけい)とか広がるし。」
彰:「クラブ活動なんて、面白くねーだっちゃ。面倒くせいよ。人間関係。」
修二:「ちょっと、いいと思うよ。俺もちょっと、プロデュース休もうかなって。」
野ブタ:「な、何で?」
修二:「野ブタもさ、友達が出来た事だし、俺達と一緒にいても、いつまでも自立(じりつ)しないんじゃないかな。なあ?」
彰:「なあ。」
修二:「大丈夫、相談(そうだん)とかいつもどおりのるしさ。」
彰:「よし。」
修二:「いたずらした犯人(はんにん)も絶対捕まえるし(つかまえるし)。」
彰:「よし。」
修二:「お前、何、そんな不安そうな顔してるの?大丈夫だからな。大丈夫。」
野ブタ:「なんか、寂しくなるな。」
修二:「何言っているの。だって、同じクラスじゃん。毎日、会える。なあ。」
彰:「あ、俺も放送部、入ろ。修二も入る?」
修二:「いや、なんのために?」
彰:「よし!アボガド青いなあいうえお。愛と勇気(ゆうき)だけが友達さ。Say!」
彰:「アボガド青いなあいうえお。」
野ブタ:「アブがド青いなあいうえお。」
彰:「はい、愛と勇気だけが友達さ。はい。」
『と言うわけで、野ブタのプロデュース作戦は本日(ほんじつ)をもって、終了(しゅうりょう)します。』
『もう、三人で何かする事って、ないんだ。』
「今度は、新しく入部(にゅうぶ)してきた草野君と小谷さんです。」
彰:「彰です。よろしく。」
野ブタ:「よろしくお願いします。」
「それじゃあその辺に、それじゃあ、今日は全国(ぜんこく)高校生放送コンタールの出品(しゅっぴん) について、話しあいます。」
「はい、今年も二年生から出品作品(さくひん)出すんですか?」
「蒼井はどうする?」
『つまんねえなあ、カラオケってこんなにつまんなかったっけ?』
野ブタ:「大丈夫かな、明日。」
彰:「なんかやんの。」
野ブタ:「ランチタイムに、VTR撮りに行くって。」
彰:「そんなことやるすか?」
野ブタ:「うん、私なんかがレボーターて、良いのかな。」
彰:「レボーターやんの?」
野ブタ:「だって、助監督(じょかんとく)やるんでしょ。」
彰:「やんないって、えっ?!助監督やるの?」
野ブタ:「本当に何も聞いてなかったんだね。」
彰:「うそ。」
「おしっ!じゃあ、こんなかで一番無理な事を言った人が、このメロンを食べる権利(けんり)があるという事にしょう。ねえ。」
修二:「無理な事?」
「だから、で一番すこんなかっごい駄々(だだ)をこねた人が勝ち(かち)ってことよ。」
裕二(ゆうじ):「何それ。」
「はい、子供、やってみる!」
裕二:「よし!なんで、渡辺(わたなべ)より背(せい)が低い(ひくい)んだ。」
修二:「渡辺って、女だろう?」
「女?志し(こころざし)、低いなあ、お前。修二、お前も
修二:「俺?いいよ。メロンとかいらないもん。」
「そういや、子供の時から駄々をこねた事ないよな。」
裕二:「えー、そうなんだ。」
「なんだか、知らないけど、やたら、ききわけが良い子でさ。じゃあ、俺、やっていい?」
修二:「やんの?」
裕二:「期待~」
「ホンとに会社に行きたくないんだよ、部長(ぶちょう)なんか大っ嫌い。」
修二:「駄々をこねるね、嘘をつくのは苦しいよ、なんかしんねけど苦しいよ、ホントに苦しいよ。」
野ブタ:「こ、これから よろしくお願いします。」
彰:「痛い、痛い。」
「あの、小学生(しょうがくせい)、何とかして。」
彰:「野ブタ、ビーム。」
「修二、修二!どうかした?」
修二:「何が?」
「いつもの修二と違うじゃん!」
修二:「えーっ、そうか?」
「気合い、入れていこうぜ!」
「つきはお前。」
『いつもの俺って、どうなだって?って、感じだっけ?』
野ブタ:「ランチタイムの放送です。」
「小谷さん。」
真理子:「修二!修二!」
修二:「おー、今ね、小谷が出てんだよ。小谷。
「真理子ちゃん、こち、こち。」
修二:「これ、終わってからでいい?」
彰:「あの、野ブタ。」
野ブタ:「うん?」
彰:「俺さ、あの、す、す、す、水族館(すいぞくかん)楽しかったね。す、す、す、修二(すじ)。」
修二:「じゃまだった?」
彰:「全然、じゃまじゃない。」
修二:「どう?クラブ活動の方は。」
野ブタ:「うん、なんとが。」
修二:「あっ、蕎麦屋(そばや)見たよ。蕎麦屋。面白かった。クラスの連中(れんちゅう)もさあ、最後(さいご)の方になって、拍手(はくしゅ)とかしちゃって。なんか、あれ、見せてあげたかったなあって、おもってさあ。それだけ、」
彰:「うん、じゃあ、もうお帰り?」
修二:「うん、じゃあな。」
彰:「はい
野ブタ:「あのさあ、今度(こんど)、コンクールがあるんだけど、私、どういう
修二:「何?教えて欲しいてこと?」
野ブタ:「うん。」
修二:「うん。OK.じゃあ、ちなみにテームは何?」
野ブタ:「私の好きなもの。」
修二:「好きなもの?あっ、じゃあ、今度一緒に撮りに行こうよ、なあ。」
彰:「良いね、のった。」
修二:「お前も?
彰:「あったりまえじゃん、放送部員だぞ!」
「教導先生には、誰が言うのかな?」
彰:「あれ、蝉(せみ)の声しねえ?」
修二:「いや、この時期(じき)、蝉のなんていねえだろう。蝉じゃないん。」
彰:「秋の蝉なんて、特ダネもいいとこだよ。」
「蝉が、蝉が、蝉が、秋まで生きていてどろする!寂しいだけじゃないか。いい加減(かげん)諦めなさい(あきらめなさい)、えい!よし!セミも、人間も、諦めが肝心!」
「地獄(じごく)に落ちろう!」
修二:「あの、何やってるんですか?」
「横山(よこやま)に を
修二:「
「みんなで買った、300万!それをあの横山、洗濯機(せんたくき)には入れでバーよ。よう、落ちろ!」
彰:「え、すけい」
「あ、これ、食べて良いわよ。蝦(えび)のすり身がすり込んであるからね、うまいよ。」
「うまい?」
彰:「う~」
野ブタ:「頭(あたま)のとこ、美味しい。」
修二:「本当だ、横山の頭、うまい!」
真理子:「どういう時に諦めるか?」
修二:「うん。くだらない事とかさ、なんでもいいから、話て。」
真理子:「私、どっちかと言うと諦めないタイブなのよね。諦めるとさ、後(あと)、後悔(こうかい)するし。」
修二:「何?」
真理子:「
修二:「三年生。」
真理子:「うん、私の事、好きなんだって。」
修二:「えっ?あの
真理子:「修二と付き合ってんのかって、聞かれてさあ、なんて答え(こたえ)たら良いのか、私、分かんなかった。私たち、付き合ってのんかな?」
修二:「あ、止めといた方がいいよ。アイツ、スゲー 悪いし。なんか、
真理子:「まだ、いつもみたいに ?付き合ってるかどうか人に言えないなんて、変じゃない?変だよ。私、このままて、苦しいよ。修二は苦しくないの?」
修二:「じゃあ、まず、最初は彰のやつね。」
彰:「はい。」
修二:「何これ、学校?こんなとこあったっけ?」
彰:「たぜ。」
野ブタ:「面白い。犬が撮ったビデオみたい。」
彰:「聞た?面白って。」
修二:「じゃあ、次(つぎ)、野ブタのやつね。」
彰:「これ、頭切れてんの横山かな。」
修二:「ズボン上げているから、横山じゃん。」
彰:「どこ、撮ってんの、ハハハ。」
野ブタ:「これいい。」
修二:「何?これ、諦めちゃうの?」
野ブタ:「うん。」
彰:「今日は帰ろう、家に帰ろう、お外はもう
野ブタ:「あと、もう少しだけ。」
彰:「さっきから見てんの、修二が撮ったヤツばかりじゃん。」
野ブタ:「うん、見るたびに好きになる。」
彰:「す、す、す、好きって何よ、好きって、」
野ブタ:「これ、人しか映つてないんだよ。知ってた?好きなものって、人なんだよ。面白いよね。冷たそうに見えるのに、人が好きだなんて。きっと、まわりの人をものすごく大事にする、人なんだね。そのために、 嘘ついたり、すごい我慢(がまん)したりしてるのが、これ見てると、よくわかる。」
野ブタ:「かばん、取ってくるね。」
彰:「彰、ダウン。」
野ブタ:「ごめん、大丈夫?」
彰:「大丈夫、大丈夫。」
野ブタ:「人、人呼んでくる。」
野ブタ:「氷(こおり)、買って来るね。」
修二:「お前さあ、ぶっちゃけもう痛くね?」
彰:「痛い!心が痛いよ。」
修二:「そりゃ、好きな女に殴られれば痛いよな。」
彰:「俺さあ、修二が撮ったビデオ、捨てようとしちゃった。」
修二:「えっ?」
彰:「野ブタが一生懸命編集(へんしゅう)したビデオ、捨てようとしちゃった。俺って、
修二:「ほら、笑えよ!もっと。」
彰:「俺、諦めた方が良いのかな?」
修二:「なんだ、ずいぶん弱気(よわき)じゃん。」
彰:「でも、諦めきれないの。」
修二:「お前、こんな事でさあ、野ブタがお前の事、嫌いになると思うの?そんなことさ、お前が一番良く分かってんじゃないの?」
野ブタ:「ほんとに、ごめんなさい。」
彰:「いや、い、一番悪いのは、お、俺だからさ。」
野ブタ:「でも、グーでやることながったし。」
彰:「俺さぁ、好きな人ができたら、その人と、ずっと笑って暮(く)らせるって、思ってたのね。でも、本当に暮らしたら、こんな風に、泣かしちゃう日もあるんだろうな、きっと。泣かしなくないのに、泣かしちゃうんだろうな、俺は。」
「次は、桐谷修二君撮影(さつえい)、小谷信子さん編集の作品です。じゃあ、どうぞ。」
【私の好きなもの】
「わかった、わかった、諦めました。綺麗にね。」
「宝くじ(たからくじ)ね、あれ、諦めた。」
「まあ、綺麗にって言うわけにはいかないけど、諦めたよね。でも、結婚(けっこん)は諦め。」
「諦めたら、その時点(じてん)で、違いますか?」
「まあ、諦めん事にはなあ。」
「俺自身のこと?そりゃ、諦めている部分(ぶふん)もあるよ。」
「まだ、やってんだからさあ。」
「今回は諦めろ。」
「諦めました。」
「私、どっちかって言うと、諦めないタイブなのよね。後、後悔するし。」
「諦めきれませんが、諦めます。
「野ブタパワー注入(ちゅうにゅう)!」
「でも、諦めきれないの。」
「これ、諦めちゃうの?」
「うん。」
「次、いこう、次!」
「これ、どうかな?」
「私は良かったと思う。」
「私も。」
「候補(こうほ)に入れといてもいいじゃないですか。」
「小谷さん、引き続き(ひきつづき)がんばって。」
修二:「じゃあ。」
彰:「ばいちゃ。」
「あの…」
「小谷さんが編集したテープだよ。」
「これって、小谷さんのだって、わかってやってるよね。」
「そうかもね。」
修二:「大丈夫か?」
野ブタ:「ごめんね。」
修二:「なんで、お前が謝るんだよ。俺の事はいいからさ。なんで、そんな自分の感情(かんじょう)をむき出し(むきだし)に出来んだよ。」
彰:「出来ちゃうのよ。せっぱ詰まった(せっぱつまった)人間は。俺もしちゃったし。」
彰:「はい、俺、諦める。」
修二:「えっ?」
彰:「俺、野ブタの事、諦める。」
修二:「マジ?」
彰:「俺、野ブタの事好きになる資格(しかく)ないのだ。」
修二:「好きになる資格?人を好きになるのに、資格と別にいらなくねぇ。」
彰:「いるのよん。女の子、泣かしちゃ、絶対ダメなのん。今の俺じゃ、ダメなんだ。俺、三人でいる時の野ブタが一番好き、大好き!」
修二:「明日、学校休みだよな。」
彰:「よな。」
修二:「よし、じゃあ、すッばり諦めるか。」
彰:「野ブタ、好きだ~!野ブタの読んでる本が好きだ。野ブタの歩いてる道が好きだ。野ブタがいる屋上(おくじょう)が好きだ。野ブタのいるところは全部(ぜんぶ)好きだ。大好きだ。でわ、でわ、そんな 野ブタのために 歌います。
もしも この船で、君(きみ)の幸せ見つけたら、すぐに帰るから、僕のお嫁(およめ)においで、月(つき)も無く(なく)寂しい(さみしい)、暗い(くらい)夜も、僕に歌う 君の微笑み(ほほ笑み)、船が見えたなら、濡れた(ぬれた)体(からだ)で駆けて来い(かけてこい)、珊瑚(サンゴ)でこさえた、赤い指輪(ゆびわ)あげよう、もしもこの海(うみ)で、君の幸せ見つけたら、すぐに帰るから、僕のお嫁においで、波(なみ)も夢を見てる、星の夜は、僕に揺れる(ゆれる)、君のささやき、船が見えたなら、濡れた体で駆けて来い、空へ抱き上げて(そらへだきうえげて)、燃える(もえる)口づけしょう」
眞理子:「なんに?これ?」
修二:「さぁ?おまえは?」
眞理子:「バスケの 練習なんだ。じゃ、ね」
修二:「眞理子~」
修二:「俺たち、本当につき合ってるのって、訊いた(きいた)じゃん。おれさぁ、今まで人を好きなったって事がなくて、だから、眞理子のこと、好きだって思ってことがないんだ。なんか、恋愛みたいに、自分をコキトロールできなくなるのが、言うか、そう
だけど、それで、眞理子と一緒に弁当(べんとう)食べたりしてた。」
眞理子:「それは、これからもそうなの?この先、あたしを好きになってくれる可能性(
かのうせい)は?」
修二:「ない~ごめん~」
彰:「直せるの?(なおせる)」
「うん、このびろびろさんがうまく修まって(おさまって)くれたらなあ。」
修二:「野ブタ。」
野ブタ:「どうかしたの?」
修二:「真理子に酷い(むごい)こと言っちゃった。明日から憎まれ(にくまれ)んだろうな、俺。人にさぁ、人に嫌われるのって、怖いよな・・・」
野ブタ:「大丈夫、誰も嫌いになったりしないから。」
野ブタ:「ごめん、ごめんなさい。」
『野ブタに何か言ってやらないと、笑って何か言ってやらないと、野ブタが じゃんか。そう思うのに、俺は動け(うごけ)なかった。』
『野ブタに抱きし(だきし)められて、初めてわかった。俺は、寂しい人間だ!』
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